第226章

島宮奈々未は手紙を読み終えると、にわかには信じられなかった。

 これは――母が天瀬震に宛てて書いたものだ。行の端々から、濃いほどの愛と恋しさが滲み出ている。

 母の胸の奥にしまい込まれていた「言えない秘密」。それが天瀬震であり、母にとってのたった一人の最愛だった。

 死の間際に書いた手紙にさえ、天瀬震への想いがあった。

 母が最期に会いたかったのは、天瀬震だったのだ。

 だが母は、その願いを叶えられないまま逝った。天瀬震に会えぬまま、息を引き取った。

 亡くなる前、母は一度だけ天瀬震に電話をかけた。しかし出たのは本人ではなく、天瀬姫代の母親だった。

 手紙には通話の内容までは書...

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